suit

スーツを着るのが嫌になるほど蒸し暑い季節になりました。汗が頭の毛穴からにじみ出ているのが分かる。背中のいたるところの毛穴が全開になっているのが分かる。おでこと頭の境から汗のしずくがスーっと流れてくる。うなじからも流れ顎に向かってながれ一番とんがったところでたまって、ぽてっと私の歩く振動に合わせて落ちてゆく。落ちた汗は地面に落ちるときもあれば服に落ちることもある。落ちた私の汗は乾燥して塩の結晶になるか、人に踏まれてちりじりになる。汗には生きていないが汗の運命は悲惨である。生まれてすぐに残酷な死を迎えることが決まっている。蝉よりも寿命が短い。さらに汗は人間から忌み嫌われている。人間は制汗剤や汗脇パットなどを開発し汗の誕生を阻止したり、誕生してもそれをもみ消すような策を講じる。人間は自分たちから生まれた汗を殺すことにあくせくしている。