紀代子

この町で育って12年がたった。そして僕はこの町のことがようやく分かってきたよ。僕の住む町は九州にあって日本では田舎って言われている地域らしい。そして日本の首都は東京で、僕が住んでいる街に比べたら物凄い綺麗で華やかで楽しい町らしい。綺麗な人やかっこいい人もたくさんいて常に新しいものがある。おじさんが言ってた。

 

僕の町はなんてしょうもないんだ。山と海しかないじゃないか。どうしても僕こんなところにいるのだろう。お父さんとお母さんは何で東京みたいなところで暮らそうと思わないのかな。こんな田舎のどこがいいのだろう。

 

こんなことを考えたら今まで好きだったイオムやサンバリといった商業施設がすさんで見えたし、このような店が大好きだった自分が恥ずかしくなった。それに学校の友達が田舎者に見えてきた。そんな僕も田舎者だけれど、心は都会にあるし、みんなが知らないことを知っているという高揚感が、自分が田舎者だという自覚を薄めた。僕と友達との間には微妙な軋轢があると僕だけ感じているようだ。なぜなら友達は今までと変わらない感じで話しかけてくるし、話す内容も相変わらずだ。

 

 

今の僕の夢は日本の首都、東京で住むこと。そのためには頭がよくなきゃいけないんだっておじさんが言ってたから、僕はこれから勉強に力を入れなければならない。

 

 

これらのことをこの前お母さんに話した。そして僕の住む田舎で唯一勉強に力を入れている付属中学に行きたいとお願いした。

 

 

お母さんは反対はしなかったが肯定もしなかった。ただ、「あんたじゃ無理」と吐き捨てた。

 

無理、、「は?無理って何?」

僕のことを何も知らないくせに能力を否定されて半ギレ状態だった。悔しかった。

 

 

それ以降この会話はしなかった。だから僕は塾にも行けなかった。どう勉強したらいいのかわからなかった。それでも付属中学に行きたい気持ちは消えなかった。