これら

加奈子ちゃんと今日もまたお出かけをしたよ。良く晴れた日でいい気分だったね。ぽかぽかしてて何もかもが楽しく思えたよ。君と歩くことも左肩の荷物が重かったことも君のキラキラした目を見ることも楽しかった。川に名前は知らないけど大きな白い鳥が黄色いくちばしを大きくあけて遠くを見ていたね。何を見ていたのかな、って聞いたら君は「今ここにはいない自分の子供の姿を目に浮かべているのだよ」といったね。あの鳥の子供はもう大人になって巣立ってしまって独りぼっちになったけど、頭の中にはいつも子供たちがいるから、たまに思い出しているんだね。雲のなかれが早くなってきた。綺麗なふわふわした雲が細長くなっていくよ。木の葉はみんな木から落ちてしまったね。木はまた今年も新しい木の葉をつけるね。死ぬまで同じサイクルを繰り返すんだね。私も死ぬまで毎日生きていたものの死骸を口にし、排便し、眠り、活動しながら、日本人として日本語を話しながら生きていくのだね。最後まで私は私です。今日の出来事は死ぬときに思い出しはしないでしょう。死ぬときは最近のことをやはり思い浮かべているのかな。みんな死にたくなくても死にたくても死ぬんだよね。何かをしてもしなくても考えなくても考えても結局はみんな同じなんだね。それでその人に価値があったかなかったか判断するのは神様ではなくてこの地球に住む生物ですね。最後まで私は人間なんです。最後まで私は父母兄弟のことを忘れないし飼った犬のことも忘れないのかな。この大学生活のことも記憶の中にあるんだろうな。何も生み出さなかった大学生活もついに私の一部になったね。